株式会社ダイサン さま

代表取締役社長 斎藤慎一氏

創業以来の社是「すべてはお客様のため」を貫くため、
高品質・小ロット・短納期対応への努力を日々、続けています。
「ミューパイルジョガー」はそのすべてに大きく貢献しています。

企画・デザインから印刷・後加工までを総合的に手掛けるダイサンは、1974年の創業以来「すべてはお客様のために」という社是を貫き、全社を挙げた取り組みを続けている。枚葉現場では近年、小ロット・短納期ニーズへの対応を強化するため、UV印刷へのシフトを進めている。2018年には、菊半4色機に続く2台目のUV機として菊全4色機を追加しているが、UV機の処理能力の高さを熟知していた斎藤慎一社長は同機の導入を前に「菊全では紙積みが間に合わなくなる」とみていた。そこで、静電気除去エアーをブローできる「用紙最適化装置」搭載の反転高積紙揃機「ミューパイルジョガー」を同時に導入した。20年2月時点で、菊全4色機は定時で8ジョブ程度をコンスタントにこなす日々が続いている。午前中にはその日に必要な紙のうち、3、4パレット分の紙積みを終了させ、静電気除去されたパイルはフィーダーストップなどのトラブル防止につながっている。「ミューパイルジョガー」は稼働率向上の大きな下支えとなっている。斎藤社長は「UV機を生かすには周辺機器などの環境整備が欠かせない」と強調している。

■ 新工場とUVシフトで受注増 
■ 作業効率を高めるため「ミューパイルジョガー」導入

 「お客様のため」の社是を具現化するため、同社では「他社をしのぐ品質の印刷物をお客様の時間に合わせて納品する」を合言葉とし、斎藤社長以下全社員が意識共有している。
 同社は20年現在、輪転機を2ライン、枚葉機は菊全UV4色機1台、油性菊全4⁄4色両面機1台、菊半UV4色機1台などを保有。後工程も無線綴じ・中綴じなど多彩な加工を可能としている。折り込みチラシや官公需、商印まで幅広い品目をワンストップで提供できる態勢を誇っている。印刷品質としては、輪転機では200線、枚葉機では300線までの再現がいつでも可能で、それを短納期対応するサービスが顧客の厚い支持を得ている。
 「用紙最適化装置」搭載の「ミューパイルジョガー」はこのうち主に菊全機2台の紙処理を担っている。パレットに紙を積みながらエアーがブローされ、静電気が除去されたパイルが積み上がる基本機能を生かし、これを印刷に掛けることで、フィーダーストップをほぼ抑えることが可能となった。
 印刷業界では、高品質・小ロット化・短納期への対応が課題となって久しいが、同社の対応は「お客様のため」を充実させるべく、根本からの変革を伴うものとなった。02年、本社工場を新設することから開始した。「紙倉庫から紙を スムーズに印刷機に動かし、その刷本を後加工に移動させるまで、工場内を動く紙の導線を考えて設計した。作業効率を考慮しないと短納期は実現できない」(斎藤社長)。
 落成後ほどなく、これをベースに、油性菊全4⁄4色両面機を導入し、12年に菊半UV4色機を採用するなど、高品質化を推進するとともに、受注可能なジョブ数を大幅に増加させた。18年の菊全UV4色機の追加はこの流れを拡大させるものだ。「当社は以前から、当日納品など急ぎの仕事を積極的に受注している。その能力を高めた」。
 ただ、その分、菊全の大きな紙の紙積みや反転の頻度が高まってくる。斎藤社長は「1ジョブ当たりのロット数が少なくなり、次々に紙積みしないと間に合わない。また、菊全の大きな紙は手積みではなかなか正確に揃うものでもない。機械化すべきだ」と考え、「ミューパイルジョガー」を菊全UV4色機と同時導入した。
 現在、「ミューパイルジョガー」は生産性を支える柱として位置付けられている。

■ パイルから静電気や紙粉を除去、印刷速度も向上 
■ 印刷中のブラン洗浄も不要に

「ミューパイルジョガー」の導入前、紙積みはリフターを使いつつも基本的には手積みだったが、菊全UV4色機の導入を前に、伊藤也寸志製造部部長兼工場長は徐々に紙積み機の必要性を感じるようになっていた。
 「新工場稼働以降、ジョブ数が増加し紙を積む量がかなり増え、腰に痛みを感じる社員が出てきた。また、1ジョブの間に、紙の揃いが悪かったり、紙に帯びた静電気が関連するなどして1、2回は印刷機がストップしてしまう問題があった。これらが何とか解決できないかと考えていた」
 「ミューパイルジョガー」をすでに導入していた印刷会社の稼働状況を見学し、導入を決めた。導入後は「本当に力いらずで、作業者の体の負担が大幅に軽減された。 さらに、狙いどおり、フィーダーストップをはじめとした紙が原因の印刷機停止がほとんどなくなった」という。

 同社では1ジョブが6,000から1万部程度のものが多く、菊全UV4色機ではそれを1日に8ジョブ程度こなすのが 平均的。「それでもほぼ定時で終了し、帰宅できてしまう。作業中は忙しいが、早く帰れて体を休めることができるので、非常に楽になっている」と感じている。  日々の作業の流れは大きく変化した。始業時刻の9時から11時前までの間に、19年入社の新入社員が「ミューパイルジョガー」でその日の予定分のうち3から4パレットの紙積みを終わらせるという。また、反転作業でも活用されている。「反転作業は力も紙を扱う技術も必要だが、それも誰にでもできてしまう」。  印刷機の回転数は現在、UV機で1万5,000程度、両面機で1万2,000程度と高速。導入前は両機とも1万回転以下で稼働させていたという。「静電気の影響でフィーダーストップなど紙詰まりが発生するため、ゆっくり回さざるを 得なかった」。  紙粉の影響も解消されている。「導入前は3,000枚程度印刷するといったん、ブラン洗浄しなければならないことがしばしばあったが、静電気除去エアーの効果で紙積みの 時点で多くが吹き飛ばされ、今はその必要がほとんどない」という。 伊藤工場長は「生産性向上に対するミューパイルジョガーの貢献度は非常に高い」と評価している。

■ 高精細・短納期実現へ現場の努力 
■ 独自のメンテ、体系的に継続

 現在につながる高精細印刷や短納期対応は、営業・デザインからプリプレス、印刷、製本などに至る全社的な最適化への取り組みが基盤となってきた。
枚葉現場で特に力を入れてきたのは、印刷機の能力を常に最大限発揮できるよう、メンテナンスを続けることだった。「結局は、印刷機をフルに使っているオペレーターの意識に尽きる」(伊藤工場長)。工場新設以降は、体系的に実施するようになっている。
 印刷機メーカー推奨のメンテナンス項目をベースに、独自に「週間」「月間」「3か月」の「メンテナンス表」を作成し、着実に実行していった。日々の紙粉清掃やグリスアップも欠かさず継続した。メーカーからのメンテナンス評価は現在、「ダブルAランク」を獲得するに至っている。
「色味に厳しい案件に対しては営業から『220線の高精細で印刷しませんか』と柔軟に提案している。狙った色を再現することで顧客から喜ばれるようになっている。それに付随して、さまざまな仕事も集まるようになった。印刷現場では、良いものを良い状態で届けるという価値観を求め、かなりシビアにメンテナンスに取り組んでいる」。
そうした現場の中に「ミューパイルジョガー」が組み込まれていった。静電気を除去、さらには紙粉を除去したパイルを供給し、印刷機を止めないという同機の役割が、大いに生かされている形となっている。

■ ボトルネック解消にさまざまな活用法 
■ 後工程での再揃えやヤレの抜き取りにも

「ミューパイルジョガー」導入から2年が過ぎ、現場ではその特長を生かし、さまざまな形で活用されるようになっている。  時折、後工程担当者が「ミューパイルジョガーを使わせてほしい」とやってくることがあるという。折り機担当の女性は、刷本の揃いが不十分だったり、印刷後に帯電した静電気の影響で機械が止まりがちになったりすると、自ら揃え直すという。静電気除去エアーをブローしながら精度よく積んで、持ち場に戻る。伊藤工場長は「紙積みの経験がない人でも3、40分も教えれば使いこなすことができるようになる」と語る。
また、何らかの原因で印刷機を停止し、再稼働した際などに生じるヤレの抜き取りにも便利なようだ。従来は刷了後、刷本を定規に当てながら揃える作業をしつつ、抜き取っていたが、「ミューパイルジョガー」上で行うようになった。足腰を曲げ伸ばしせずに作業可能な上、確実な抜き取りができるようになった。
 「ミューパイルジョガー」の基本機能である紙のさばきにも大きな効果を見いだしている。「冬場の冷え切った紙や、特殊な紙で紙商社の中でしばらく眠っていた紙は従来、すぐには印刷できず、ひどいときには2、3日社内でシーズニングするなど対策を講じなければならかった。それが、ミューパイルジョガーに掛ければすぐに印刷可能な状態になる」と笑顔を見せる。
 また、伊藤工場長は「ミューパイルジョガー」自体のメンテナンスの容易さにも一目置いている。「紙粉の清掃程度の簡単な作業で済む。導入後、トラブルはおろか、故障も発生していない。1度もサービスを呼んだこともない」という。
 伊藤工場長は「ミューパイルジョガーが工場に根付いてきている」と実感している。社員が抱えていたさまざまなボトルネックの解消に貢献している。

■ 「働き方改革」にも貢献 
■ 紙積み終えた新人は印刷機を稼働

 高品質と短納期を両立させるため、斎藤社長は「ミューパイルジョガー」のような周辺機器への投資も充実させてきたが、同機については「働き方改革」の推進も強く意識したものだったという。「私も紙積みを経験したことがあるが、素人には揃えることは難しいし、菊全サイズは人が扱うものではないと思うほど重い」。「それから、残業時間の規制や有休の義務化拡大などが施行されれば、さらに生産性を向上させる必要がある」。
それを現場の活動に落とし込む伊藤工場長は社員教育を一層重視している。「ミューパイルジョガーにより、力仕事が削減され、生産性も上がった。始業時の紙積みを担当している新人は紙積みが終われば印刷機を動かしている。入社から1年もたっていないがすでに単色と2色の仕事は本刷りできるようになっている」という。この紙は先輩社員が積むそうだ。
「チームワークを一層強化していく必要もある」とも指摘する。「印刷業界には、オペレーターが印刷機を回し、紙積みをはじめ、資材出しやインキ補充、ニップ調整といった作業を若い補助員が行うといった慣習があるが、そうしたことは当社ではなくしたい。交替で、また誰かが休んでも、カバーできるようにしたい。そうすれば生産性はさらに向上する」と力を込める。すでに、枚葉機スタッフ7人のうち5人がほぼ対応可能となっているが、さらに完全な形を目指す。
ジョブ数の増加と働き方改革への対応。斎藤社長は輪転部門に続き、枚葉部門でも24時間稼働を視野に入れつつある。そうなると、さらなる効率化に向けて、印刷前準備の重要性が一層高まる。「まずは、引き続きミューパイルジョガーを活かし、高品質なものを短納期で生産する態勢を強化したい」と語る。