勇進印刷株式会社さま

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代表取締役社長 大島和巳氏

紙積み時に除電するシステムにようやく出会えました。
冬場、上質紙1パレで1、2回は発生していたフィーダーストップが一冬を越えた現在、ほぼ皆無です。

印刷前の紙積みの効率化を主な目的に2010年から「ミューパイルジョガー」を活用している勇進印刷の大島社長や現場のリーダーらは17年、新製品「用紙最適化装置」のパンフレットを見るなり“わが意を得たり”と感じたという。薄紙ではフィーダーストップが、厚紙では紙粉による印刷品質への影響が課題となっており、その原因は紙積み時にパイルに蓄積する静電気とみていた。「用紙最適化装置でクワエ側から除電エアーをブローしながら紙積みする」というコンセプトに強く共感し同年、いち早く、同装置を搭載するミューパイルジョガーを導入することとなった。菊全と四六全機計7台を24時間稼働させる現場で、フィーダーマンが同機をそれぞれのタイミングで活用している。一冬を越えた現在、薄紙ではフィーダーストップがほぼ発生しない効果が続き、厚紙ではピンホールが減っているという。現在、ミューテックと共に、さらなる効率化を目指した使い方やシステムを模索しているところだ。

■ 厚紙への進出  ■ まずは紙積みの合理化に着手

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 長年、1色または2色の書籍本文の印刷を中心に24時間態勢で対応することで顧客の支持を集めていた同社は、11年に高感度タイプのUVシステムを搭載した菊全5色機を、14年に同菊全6色機を相次いで導入した。顧客ニーズに応じ、表紙や厚紙、パッケージなどのカラー分野へ事業の幅を拡大している。著名デザイナーの書籍の表紙や本文など、厳しい色味の合わせ込みにも柔軟に対応できる強みが加わり、厚紙・薄紙とも、さらに多くの仕事を寄せられる忙しい日々が続いている。
 大島社長がこれら多色機導入を前に、10年の段階で想定した課題は厚紙の紙積みだった。それまでは各機のフィーダーマンが紙積み定規で手作業で紙を積んでおり「厚紙が1万回転を超えるスピードで回れば、1パレ2、3,000枚程度の紙積みが間に合わなくなるのは必然だし、作業員の体の負担は大きいだろうと考えられた」。
FREEHTML5.co Free HTML5 Bootstrap template  仲間企業の工場を見学するなどの交流の中で、印刷機とともに紙積み機が稼働する様子がヒントとなった。「印刷機プラス紙積み機のセットで運用する必要性を実感した」。
 紙積み機の選定に当たってはさまざまなメーカーの機種を検討したという。ミューパイルジョガーに決めたのは「見学先での稼働率や当社で運用する際の操作性、耐久性、デザインなどを総合的に判断した」。特に「ワンプ包装された紙束を機械の右部分にいくつも積み上げ、そこでワンプむきし、1つかみずつ、左のジョガー部へ紙をスライドさせるだけの動きで紙が積まれ、揃っていく流れに着目した」と語っている。
 厚紙対応で想定されていた紙積み作業そのものへの懸念は、UV機導入に先立って導入した同機により未然に解消していた格好。導入後は「作業者の体に負荷が掛からず、次々とスピーディーに積んでいけている」と評価している。
 印刷現場を統括し、自ら手積みをしていた経験もある佐藤功・工場次長兼務製造技術責任者は同機導入直後、その能力をテストしたという。「1パレ3,000枚ほどの厚紙を半日で16本積むことができた。充分だと思うほどの能力があった」と実感している。
 同社が保有する印刷機は、2台のUV機のほか、既設の菊全2色両面専用機1台、四六全2色両面専用機2台、四六全1色両面専用機2台の各油性機。各機のフィーダーマンは紙積み枚数の多いジョブや、厚紙で紙積みのタイミングが遅れてしまうことが予測される場合など必要に応じ、ミューパイルジョガーで紙積みするようになっていた。導入後は「薄紙でも厚紙でも作業効率が上がり、1日当たりの通し枚数も増加する効果があった」と振り返っている。

■ 冬場の薄紙の静電気に課題 ■ 「除電エアーのブロー」に強く共感

 厚紙と薄紙両面にわたり、紙積み作業のスピードアップや労力の軽減を図る環境づくりが行われた一方、これとは別に、現場では長年、冬場の静電気が薄紙の印刷に与える影響が課題となっていた。
 大島社長は「静電気の影響で印刷機がたびたびストップしてしまっていた。工場内の空調や印刷機上でさまざまな対策を講じていたが、効果は完全ではなかった。真冬の紙倉庫から暖かい工場に紙を移動するとその時点で紙に静電気が帯びてしまう。短納期の要望が強く、次から次へと印刷しなければならない状況の中で、納入された紙をシーズニングしておく時間もない。静電気には本当に泣かされっぱなしだった」と振り返る。佐藤次長はフィーダーストップの頻度について「上質紙を1パレ1万2,000枚積んだ場合、1、2回は発生していた」と説明する。また、「ダブりや、針・当ての飛びなどのトラブルにも悩まされていた」という。
FREEHTML5.co Free HTML5 Bootstrap template  佐藤次長は「静電気除去スプレーを使用したり、除電バーを搭載したり、排紙胴や渡し胴に静電気対策するなどしていたが効果は完全ではなく、紙積みをていねいに油断なく行うことで対応していた。フィーダーストップや印刷トラブルの原因は紙積みされた紙に帯びている静電気だということは分かっていた」という。
 そんな中、17年、ミューテックから用紙最適化装置の提案を受けた。パンフレットを見た瞬間「この紙積機なら色々な問題が解決できるかもしれない」とうれしさがこみ上げてきたという。「ミューパイルジョガーで紙積みをしている間に吹き出す風入れのエアーが除電効果のあるエアーになり、しかも、クワエ側から紙全体に入っていくという仕組みになって、大きな効果が得られるはずだとすぐに感じた。当社で困っていたことにメーカーとして踏み込んできてくれた」とコンセプトに強く感銘を受けたという。
 「なるべく前の工程で静電気を取り除ければオペレーターはとても楽になる。どんなに印刷機が良くなっても、流れる紙に帯電しているとどうしようもない。そこが解決されれば印刷品質のレベルが一歩上がる。それが顧客の評判につながっていく」。現場からの導入提案を受け、大島社長は即、導入を決めた。「静電気に起因するフィーダーストップや印刷トラブルにはずっと泣かされっぱなしだった。紙積み機で除電できるなら効果は大きいはずだ」。

■ フィーダーストップはほぼ皆無に ■ 厚紙の紙粉でも効果

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 用紙最適化装置を搭載したミューパイルジョガーを導入したことで、ミューパイルジョガーは従来機と併せ2台となった。紙積みを担当する各印刷機のフィーダーマンは搭載機導入後ほぼ、同機を使うようになっているという。
 17年末から18年初にかけての一冬を経験し、佐藤功次長は「用紙最適化装置搭載機で積んだ紙ではほぼノンストップで稼働できていた」という。「特にフィーダーストップはなく、サッカーでの紙の送りが非常にスムーズになった感覚がある」とのフィーダーマンの声があるという。「上質紙1万2,000枚1本が止まらずに稼働できている」ほどだという。
 18年5月現在、同機の活用方法は広がっている。スキット納入された用紙を同機で積み替えて印刷機に掛けることがある。「積み替えの手間はあるが、印刷中に止まらない方がいいという判断がある」(佐藤次長)。UV機を保有することで増加していたユポへの印刷でも「通りが悪い場合、静電除去しながら積み替えると通りが良くなることから、活用の機会が増えている」という。
 また、印刷機のデリバリー部で刷本の揃いが十分でなかった場合、同機を活用して積み替えることもある。「クワエから静電気除去エアーをブローすることでぴったりと揃うようになる。次工程を担う会社にきれいな荷姿のまま納入できることで刷本の品質を信用してもらえる効果がある。積み替えでもどんどん活用している」。さらに、印刷品質に何枚か不安があった場合、積み替えを兼ねて同機上で目視検品を行っているという。
 厚紙印刷分野でも効果が表れている。ベタの白抜けなどピンホールは致命的な印刷トラブルとなる。同社ではUV印刷によるパウダーレス化を実現してはいるが、静電気が呼び寄せる紙粉には有効な対策を打てずにいた。静電気除去エアーをブローする同機での紙積みにより「一定程度紙粉が除去され、ピンホールがひどくて印刷を止めているという現場からの訴えが大きく減っている」という。この点に関し佐藤次長は、ミューテックにさらなる機能強化を求めている。「さらにエアの入りが強くなればピンホールが本当に皆無になる」。ミューテックでは、運用方法の提案やブロー圧などについて現場での改善を支援している。さらに、その声を今後の新製品に盛り込んでいきたい考えだ。

■ 2台の「ミューパイルジョガー」を有効活用へ
■ 人材育成の余裕も生み出す効果

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 同社は今後、2台となったミューパイルジョガー双方を有効に活用していきたい方針だ。現在、フィーダーマンによる紙積みは、用紙最適化装置搭載タイプに集中している状況となっているが佐藤次長は「除電が本当に必要な紙とそうでない紙を選別し、2台に紙積みを振り分けたい」という。その上で、「2台をフル活用し、印刷機7台分の紙積みを前もって準備できる態勢を整えたい」と考えている。それにより一層の作業効率化を目指す。
FREEHTML5.co Free HTML5 Bootstrap template  同社の印刷現場は、44歳の佐藤次長を筆頭に平均年齢が30歳前後と若い。大島社長は「全員、向上心が強い。その活気ある雰囲気をまっすぐに育てていきたい。そのためにミューパイルジョガーを役立てていきたい」と今後を見据えている。佐藤次長も「紙積み作業の負担を軽減して仕事に余裕を持たせ、その分、印刷そのものを勉強してもらい、オペレーターとして早く育ってもらいたい。ミューパイルジョガーのような道具を使いながら最初から印刷に最適な紙を流す。そんなシステムが必要な時代になっていると思う」。
 大島社長は今後、カラー印刷を一層強化するとともに、製本や抜きなどの後工程への展開もにらんでいる。「人材教育は今後、ますます必要になっていく。ミューパイルジョガーのような実効性のある機械を今後も有効に活用し、働きやすい環境をつくることが重要となっている」と語る。